Interview新宿有識者
インタビュー

つながりを生み、新たなまちを創り上げる西新宿のエリアマネジメント<前編>

新宿副都心エリア環境改善委員会 事務局 大成建設株式会社    小林洋平さん、村上拓也さん

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新宿で活躍する様々な人や有識者の皆さんにお話を聞き、未来の新宿に向けた活動をご紹介するインタビューのコーナー。今回は2010年に発足し、西新宿のエリアマネジメント活動を推進してきた「新宿副都心エリア環境改善委員会」(以降「環境改善委員会」)の事務局を務めている大成建設株式会社の小林洋平さん、村上拓也さんにお話をお伺いしました。

エリア間競争が激しくなる中で今後の新宿に求められることとは!?またスマートシティ化を受けてどのように新宿は変化していくのか!?これらのポイントについて語っていただきました。

※本インタビューは緊急事態宣言前に実施したものとなります。

 

続けることによって価値が生まれる「まちづくり」

 


小林「「環境改善委員会」が発足したのは2010年のことで、当時都市間競争が激しくなり、丸の内や日本橋や渋谷と比べた時にどうやって魅力の維持と向上をしていくか考えた際に、まちづくりという視点に立つことが重要だという話が出ました。その中で国、東京都、新宿区にオブザーバーとして入ってもらうことにより、官民連携の体制を構築して活動をスタートさせました。具体的な活動としては「各街区や個社ではできないことをみんなでやろう」ということを大きなテーマに「まちづくりの企画立案」と「事業化支援機能」の2つの活動を行っています。


 

発足当初は同じような価値観を持った各社ご担当と共に小林さん自ら先頭に立って活動を進められていたとのことです。ただ当初は少人数の活動でもあったので、なかなか活動への理解も追いつかず大変なことも多かったようです。

 


小林「社内的にも初めは「何をやっているんだ?」という感じでしたが、絶対に価値がある、大義があると信じやっていました。やはり初めに思ったことをしっかりと続けていると社外の方が応援してくれます。トータルでまちとして一緒にやっていく中で、色々な方に関わってもらったというのが経緯として一番大きかったと思います。ビルをすべて壊して新しいものを建てれば簡単に新しいまちはできますが、スクラップアンドビルドではなく既存ストックを使ってどう「賑わい」「回遊性」「防災」といった課題を解決するかに注力してきました。」


 

当初より新宿というまちの特性を考え「賑わい」「回遊性」「防災」を大きな柱として活動してきた環境改善委員会。その中で会員企業各社やまちのプレーヤーとの会話を欠かさず、合意形成に力を尽くしてきたことにより10年間で大きく活動規模を拡大することに繋がりました。

 

「賑わい」ではなく「アクティビティ」

 


村上「コロナ禍を経て、私は意図的に「賑わい」という言葉を「アクティビティ」という言葉に置き換えています。人を集めるということだけではなく、人が少なくても賑わって見えることがアクティビティであると考えており、最近意識している部分です。」


 

まさしくShinjuku Share Loungeは今考えるとアクティビティだったと村上さんは考えていました。このイベントは「エリアに人がいない」ではなく「エリアをただ人が歩いているだけ」というアクティビティの少なさという課題にフォーカスした取り組みであり、コロナ禍を経てもっとそういった考え方で取り組みを増やしていくべきだ、と思うようになったといいます。

 

 

 

 

「寄り合いまちづくり」の姿勢

現在では19社の会員企業と共に活動する環境改善委員会。内外問わず多くのプレーヤー・ステークホルダーと連携する中で、調整等多くの苦労があったと推察していました。実際にまちづくりを進めるにあたってはどのようなことを意識していたのでしょうか。

 


小林「現在会員企業が18社いますが、1社だけが頑張るのではなく、一緒に頑張っていこうという姿勢が大事です。他所のエリアマネジメントでは1社が先導している事例もありますが、あれは力のある企業がお金と人と責任を取ってくれるシステムです。ただ新宿ではなかなかそうはいかないので、全員でお金を集めるし人的協力もするし、いいことも悪かったこともみんなでシェアします。「寄り合いまちづくり」なんて言い方をしていますが、このシステムだから続けられていると思います。」


 

このシステムは同じく先頭に立つプレーヤーが存在しない地方都市にとってもベンチマークとなるものであるため、様々な都市から話を聞かれることが多いといいます。その中ではお金の話やどうやって会員企業を引き留めるか、といったミクロな話に及ぶが多いようですが、それこそが重要だと語ります。

 


小林「派手なイベント以外の部分が大事で、まちづくりとしてはそういったプロセスを重視しています。同じプロセスを踏んだ人々に力を発揮してもらえるとすごく心強く、みんなでやろうとしないと本当の意味での協働というのは生まれないと思います。そのために事務局が責任をもって話を聞きに行くのが重要でした。会員企業それぞれと年間最低2回は対話するようにしています。その場で会員企業の意見を引き出して、それを事業計画に盛り込むことができると、言ったことががちゃんと反映されているという実感が得られつながりがより強くなります。会員企業が多くいる団体では説明会を開催するなど団体によって最適な方法はあるかと思いますが、我々はそういった対話形式を取っています。」


 

自分たちが汗をかき、ヒアリングからフィードバックまでを丁寧に行うことで合意形成を図っていくという、お二人の姿勢が伝わってきました。これからお話いただくスマートシティなどが進んできても、その根幹となる姿勢は変わらないと断言されていました。

 

 

 

 

新宿の魅力は「沿線」と「多様性」

改めて新宿の魅力についてお尋ねした際、おふたりとも共通して「沿線」とお答えいただきました。

 


村上「沿線から来てくれている人が支えてくれているまちという印象が強いです。それこそ社会実験を開催した際に思ったのですが、新宿にいる人だけではなく沿線の人も新宿で何かやってるぞ、と気になって訪れてくれます。何かあった時に行きやすい場所にある、バックにこれだけの人がいるというのは新宿の大きな特徴なのではないでしょうか。」

 

小林「渋谷ならエンターテインメントシティ、池袋なら文化都市、丸の内なら金融国際といったような色がありますが、新宿は様々な要素がありすぎてそういった打ち出しがしづらいです。自分たちだけではなく沿線に支えられているエリアなので、沿線の魅力をどのように取り入れていくかということが自分たちの特色になると思っています。」


 

新宿にはアクセスのよさにより様々な場所から人が集まりやすい土壌・文化があるため、非常に高いポテンシャルがあるとのこと。オフィスビルの中に様々なショールームが集まっているのもそれを証明しています。様々なメーカーの製品などを集めて、低層のオープンスペースで複合的なライフスタイルを提案することができれば更なる発展の可能性もある、とお話されていました。

 

さらには新宿中央公園という広大な公園や沿線、公開空地があるといったハード面以外にも、その場所に「多様性」のある人々が集まっているということも見逃せないキーワードとなります。

 


小林「「雑多」ではなく「多様」でいて、なおかつそれがつながっていくというのが重要なのかもしれませんね。この後お話するスマートシティもつながる、という言葉をキーワードにしています。今まで開催した社会実験を通しても、まちと人がつながっていたという印象があります。そのようなきっかけをどうやって作るのか考えていきたいです。」


 

新宿にいる人の数が多いことは認知できていると思いますが、その人たちの顔を見えるようにしていく、というのはとても難しい試みです。属性を把握しながら、私たちも数×多様性ということを導き出せればどのエリアにも負けないものができるのではないかと思っていますので、引き続き調査を続けていきたいと思います。(Think!!Shinjukuで今まで調査したデータはこちらからご覧ください。)

 

「新宿中央公園」とオフィスの価値変容

コロナ禍を経てこの記事を読んでいる皆様も大きく働き方が変化してきていると思います。その中で将来のオフィスビルの役割はどうなっていくのでしょうか。

 


小林「これから働き方も変わり公園など外のスペースで仕事をする方も多くいらっしゃると思います。そうなってくるとどういう立地がいいのかという、オフィスや事務所の価値もまた変わってくるのではないでしょうか。私が考えているのは駅近のビルで働くスタイルと公園、パークフロントで働くスタイルのどちらがクリエイティブかということです。となるともしかしたら新宿中央公園に近いビルがこのエリアで最も賃料の高いビルになるかもしれない。そういったまちになるとすごく面白いと思います。」

 

村上「新宿駅と新宿中央公園、これらが核として成立することによって人通りや回遊性も増すので、新宿中央公園の位置づけはとても重要です。新宿駅利用者350万人と言われていますが、実際西新宿に出てきている人はそれより大幅に少ないですよね。やはりまち側に魅力がないとダメなので、西のひとつの終着点たる新宿中央公園はとても大事であり、そこにもっともっと魅力を作っていかないといけないと思います」


 

既存ストックを使ってまちの魅力を向上させていくというのが大きなテーマであると冒頭でお話いただきましたが、まさにその通りかと思います。働き方、過ごし方が変わっていく中で、どのように空間を活用していくのか。新宿のひとつのシンボルでもある新宿中央公園とまち全体を連動させることによって、賑わいや回遊性という結果に繋がるのではないかと思います。

 

前編はここまでとなります!

後編ではお二人の思い描く西新宿の未来像とスマートシティについてさらに熱く語っていただきます。

 

 

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