新宿有識者
インタビュー
【新宿の「つづき」は、もっとおもしろい。】人と街をつなぐ、SOMPO美術館の50年とこれから
SOMPO美術館 西脇館長、50周年記念事業プロジェクトメンバーの皆さん
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当社は「人と街をつなぎ、未来の新宿を創る」というコンセプトのもと、2025年10月より人と街をつなぎ、新宿の魅力や各種情報を発信する仮囲いプロジェクト、「新宿の『つづき』は、もっとおもしろい。」を開始しました。
新宿駅へお越しの方々に、新宿への期待感をお持ちいただけるような新宿の魅力・情報・未来に向けた取り組みを、新宿の企業・団体と連携しながら、お届けすることを目指しています。
この取り組みの第二弾は、SOMPO美術館さまへインタビューを実施しました。2026年に開館50周年を迎えたSOMPO美術館の、これまでの歩みと未来に向けた想いを、本ページでご紹介します。
※仮囲いは2026年5月下旬まで、小田急線新宿駅西口地下改札口付近にて掲出しています。掲出期間は工事の状況により変更となる場合があります。
※ご覧いただく際は、周囲の通行者へのご配慮をお願いいたします。
■SOMPO美術館
1976年に「東郷青児美術館」として損保ジャパン本社ビル42階で開館し、2020年にビルの敷地内に建設された地上6階建ての美術館に移転、「SOMPO美術館」として生まれ変わりました。
アジアで唯一ゴッホの《ひまわり》を見ることができる美術館として親しまれています。
社会貢献と「オアシス」から始まった美術館の原点

写真:左から西脇館長、出口さん、本條さん、杉本さん、安西さん、須山さん
SOMPO美術館は1976年、当時の安田火災海上本社ビルの42階に開館しました。背景には、当時の社長が「お客さまに育てていただいた会社であるから、お客さまに何かお返しするものがあって しかるべきだ。それには美術品の一般公開が一番ふさわしい」と強く考えていたことがあります。
西脇館長:もともと前身の会社から、東郷青児さんの絵をカレンダーなどに活用させていただく企業文化がありまして、東郷さんにも賛同いただきご自身の作品を提供してくださったことが、美術館の出発点になっています。 高層階から新宿の街を眺められる「憩いの場(オアシス)」として、生活の中に潤いを届けたいという言葉も残っています。

東郷青児《超現実派の散歩》1929年
2020年7月に新館へ移転しましたが、大きく以下の理由があったといいます。
①設備の老朽化と防災面
②より開かれた美術館にするため
③西口エリアの玄関口における「アートランドマーク」としての役割
西脇館長:新宿駅周辺の再開発が進む中で、西口エリアの玄関口にある美術館として芸術文化を発信し、地域の活性化に貢献したいという思いがありました。
昨年8月には累計来館者数700万人を達成することができ、SOMPOグループの関係者からも、「SOMPO美術館については常に良いお声が届く」とよく言われます。国内外問わず、様々な作家の企画展を開催できていることもお客さまから高い評価をいただいている理由の一つと考えています。
ブランドメッセージ「この街には《ひまわり》がある。」
2020年の新館への移転時に、プロモーションで用いたのが「この街には《ひまわり》がある。」(現在はブランドメッセージとして定義されています。)
新宿という多くの人々が行き交う街で、心豊かで幸せな時間を過ごしていただきたい。アジアで唯一見ることができるゴッホの《ひまわり》が、人々に安らぎや活力を届け、芸術文化を通してお客さま一人一人を応援したいという思いを表現しています。
西脇館長:個人的にも好きなブランドメッセージです。アジアで唯一《ひまわり》がある美術館として、新宿と関わりのある方々にも、もっとその価値を広めていかなければと感じています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888年
教育普及活動と美術家支援事業への想い
SOMPO美術館では教育普及事業と美術家支援事業も積極的に行っています。これらは1976年の開館時から取組んでおり、展覧会運営と並ぶ財団の柱です。
教育普及については2008年度から新宿区教育委員会や区立の小中学校と連携し、区内の小中学生を対象に美術鑑賞支援事業「対話による美術鑑賞」を行っています。新宿区ならではの取り組みで、文化庁も含めて非常に関心を持たれているといいます。
西脇館長:子どもたちが美術館に来るための学校との調整を公益財団法人新宿未来創造財団が担当し、そして学校での事前授業や美術館での鑑賞サポートを約80名のボランティアによるガイドスタッフが行っています。新宿区教育委員会、区立の小中学校、SOMPO美術館の3者連携と言っていますが、そういう意味では新宿未来創造財団とガイドスタッフも加えた5つの組織が関わっている事業だと、わたしは考えています。ガイドスタッフは、子どもや美術が好きな方々が毎年登録してくださっていて、作品と子どもたちをつなぐ架け橋として活動してくださっています。

美術家支援事業としては、2つの取り組みを行っています。
一つ目は平面作品の全国公募展の「FACE」。もう一つは「SOMPO美術館賞」という表彰制度です。SOMPO美術財団が接点を持つ全国の22の美術団体において、「東京都知事賞」などと並んで「SOMPO美術館賞」を授与しています。こういった取り組みを通して、SOMPO美術財団は作家の方々を応援しています。
西脇館長:現在22の美術団体の表彰式に参加していますが、団体からは貴重な財団表彰として喜ばれていますし、美術の世界ではよく知られているようです。実は作家たちとの懇親の場でも、「○年前にFACEで入選しました」とか「SOMPO美術館賞を受賞しました」という声をいただくこともあります。継続して賞を出し続けて支援した作家さんがその後も活躍されていることは我々の誇りです。
新宿の企業と連携し、美術館ならではのにぎわい創出や文化の発信を
ゴッホの《ひまわり》を共通項に、新宿の企業と連携した実績もあります。
例えば、近隣の公園では夏にひまわりが植栽されており、その時期に合わせて相互に紹介し回遊を促す取り組みを行っています。また、近隣のホテルではひまわりからインスピレーションを受けたスイーツを提供するなどのコラボレーションを、実施したこともありました。

杉本:美術とはまたすこし異なる観点で、地域や企業とご一緒できた良い例になりました。今後もこういった連携ができたらと思っています。
西脇館長: 50周年記念イベントを皮切りに、改めて新宿の皆さまに感謝をお伝えし、文化とにぎわいの創出に貢献したいと考えています。新宿の「逸品」となるようなコラボグッズやイベントを、皆さまのお知恵も借りながら進めていきたいです。

2階ミュージアムショップで展開されている、新宿に縁のある企業の商品を一堂に集めたブース
「新宿に位置するSOMPO美術館」として、現在の課題と目指す姿とは
現在は2023年に策定したSOMPO美術財団のパーパスに基づき、以下の4つの課題に取り組んでいます。
① アクセシビリティの充実
② 油彩画の保存修復と若手修復家の支援
③ デジタルアーカイブ化
④ アートと福祉の研究
西脇館長:①【アクセシビリティの充実】に関しては、国際博物館会議(ICOM)の定義にもある「包摂性(インクルージョン)」を重視しています。障がいのある方への対応はもちろん、「対話しながら鑑賞したい」というニーズに応える「ギャラリー★で★トーク・アート」のようなイベントも実施しています。誰もが自由に鑑賞できる環境を整えることが課題です。
その他、②【油彩画の保存修復と若手修復家支援】については若い修復家を支援し、仕事の場を創出していくこと。③【デジタルアーカイブ化】はデジタルアーカイブ化した後のデータ活用方法や学芸員の仕事のあり方の変化も課題だと捉えています。
また、④【アートと福祉の研究】においてはグループ内にケア施設を抱えているSOMPOグループとの連携によって、高齢者が絵画を見ることで心にどのような変化があるのかなど、アートと福祉の関係等についての研究に着手しています。

2階に設置されているひまわり高精細画像体験コーナー
50周年テーマ「美術・新宿・ココロの再発見。」に込められた想い
これまでの感謝を伝えつつ、新宿という街の歴史と魅力を再認識し、美術を通してご自身の心と向き合う機会を提供したいといいます。
西脇館長:東京都美術館の高橋館長がラジオでおっしゃっていた言葉に感銘を受けました。美術の知識がなくても「ぼーっと見ればいいんですよ」と。一人でぼーっとできる場所、それが美術館であってもいい。若い方も含め、気負わずに足を運んでいただきたいと考えています。
新宿におけるSOMPO美術館の「つづき」とは?
西脇館長: 新宿の街には長年お世話になっており、新宿区との鑑賞教育事業や展覧会の「後援」をはじめ、多くの支援をいただいています。50周年の記念事業を通し、改めてそれを感じました。
今回の50周年記念事業でも意識した部分ではありますが、新宿の「アートランドマーク」として、西口も東口も関係なく、この街と人々をつないでいく役割を果たしていきたいと思っています。

新宿の「つづき」は、もっと心豊かであるはず。
ひまわりの花が咲くように、この街の至るところに「ココロの再発見。」が溢れる未来を、SOMPO美術館は地域と共に創り上げようとしています。
※4月11日からは、日本で約30年ぶりとなる「ウジェーヌ・ブーダン展」が開催されます。印象派の先駆者にして「空の王者」と呼ばれた画家ウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)の画業を振り返り、「印象派の先駆者」が果たした功績とその革新性を再検証します。
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